矯正歯科は、単に歯並びを整えるための治療ではありません。もちろん、乱れた歯並びを美しく整えることで見た目の印象が向上し、自信を持って笑顔になれるという大きなメリットがありますが、それにとどまらず、発音の改善や噛み合わせの調整、さらには身体全体のバランスにも好影響をもたらす重要な医療分野です。
たとえば、前歯でしっかり食べ物を噛み切り、奥歯で効率よくすり潰すという咀嚼の基本機能が正常に働くようになることで、消化器官への負担軽減にもつながります。また、歯並びが整うことで歯ブラシが届きやすくなり、むし歯や歯周病の予防にも役立ちます。これにより、将来的に歯を失うリスクを減らし、生涯にわたる口腔内の健康維持にもつながるのです。
さらに、成長期にあるお子さまの場合は、顎の正しい発育を促したり、口呼吸・指しゃぶり・舌の癖といった“悪習癖”を改善したりするなど、機能的な土台づくりとしての役割も担います。
このように、矯正治療は審美性だけでなく、咀嚼機能や予防効果、口腔機能全体のバランスを整える医療的な意義をもつ治療です。